World Chronicle / Battle Record 048

アーナンヤvsジャンナ

アーナンヤアーナンヤ・クマリ
VS
ジャンナジャンナ・シャバリン

「なんだなんだ?ホランよぉ? ぼっこぼこじゃん!」 ホランは聞き覚えのある声に慌てて振り返った。 ジャンナはその声の方向を振り向くと 忌々しい記憶がよみがえった。 見たことのある真っ赤なボディスーツと緑の三つ編み、 とにかく目立つ色見の女が岩場の上に立っていた。 「貴様ぁ・…

Compiled Battle Record

導入と決着

戦闘記録 048

導入

「なんだなんだ?ホランよぉ?
ぼっこぼこじゃん!」
ホランは聞き覚えのある声に慌てて振り返った。
ジャンナはその声の方向を振り向くと
忌々しい記憶がよみがえった。
見たことのある真っ赤なボディスーツと緑の三つ編み、
とにかく目立つ色見の女が岩場の上に立っていた。
「貴様ぁ・・・」
ジャンナは少しイライラした表情を見せた。
「ア・・・アーナンヤ・・・」
ホランはアーナンヤのほうを見て
あっけにとられたような表情で見た。
「しけた面してんな。アストマの奴に負けるなんてな」
その声に反応するようにホランは叫んだ。
「ウルセェ!アーナンヤ!てめぇはすっこんでろ!」
もう諦めていたホランの気持ちに何かが火をつけた。
ホランは立ち上がって思いっきりジャンナ目掛けて突きをした。
突然のことで驚いたジャンナは
後ろに飛びずさりホランと距離を取った。
「なんだと?・・・まだ立てるのか」
ジャンナは訝しげにホランを睨んだ。
「アーナンヤ!てめぇに手を借りるか!
くっ・・・」
ホランは自分の胸を押さえてまた膝をついた。
「やれやれ・・・」
アーナンヤは崖の上から飛び降りてホランの近くに着地した。
「ほら。無理してる。情けねぇな」
「うるせぇ!」
「ピカピカしたオーラにやられたのか?」
「なんだよオーラって」
「知らねぇよ。見ただろ。あのジャンナってやつから
紫色の光みたいなの出てるの」
「ああ」
「あれがオーラだろ」
「なんだよオーラって」
「知らねぇよ」
「なんで知らねぇんだよ!」
「うるせぇ!」
延々と続く言い争いをジャンナは腕を組んで睨み続けた。
「貴様・・・アーナンヤだったな。
この前の借りを返してもらうぞ・・・」
アーナンヤはニヤっと笑った。
「ひひ。リベンジマッチってわけだな!
前回はあたしがあんたを追い払ったからな!」
「アーナンヤ・・・あんた大丈夫か?なんかケガしてないか?」
ホランはアーナンヤの服装が少し乱れていることに気が付いた。
「ああ?ああ、これはちょっと前にキッツィーと喧嘩してたんだよ」
「マジかよ連戦かよ」
「まあな。今日は忙しい日だ」
ジャンナは剣を振った。
強い風がアーナンヤとホランの髪の毛を揺らした。
「貴様・・・今日は勝たせてもらうぞ
・・・領土を広げるためにこのあたり一帯を私が支配する」
ホランは少し驚いた表情をした。
「マジかよ・・・」
アーナンヤは不思議そうな顔をした。
「意味わかんない。なんだよ支配って。砂漠と岩場しかないのに」
ジャンナは嫌味な笑みを浮かべた。
「ふん。貴様の様な戦うしか能のない愚か者に
私の崇高な野望など理解は出来んだろう。
私の剣の錆にしてやる・・・」
ジャンナはホランを倒した時と同じように
邪悪なオーラを体中にまとった。
「アーナンヤ気を付けろよ・・・」
「へっ。お前は自分の心配をしな」
アーナンヤはジャンナに相対して戦闘態勢に入った。
「前回の分もまとめて貴様に食らわせてやろう!」
ジャンナの眼に怪しげな光がともった。
「へっ!もう一度まとめて送り返してやんよ!」
アーナンヤは握りこぶしに力を込めた。

決着

「いくぞ小娘!」
ジャンナは手に持った七色に輝く剣でアーナンヤに切りかかった。
「うらぁ!」
ガキン!
アーナンヤのパンチはジャンナの切っ先と衝突し、激しい音を立てた。
「ぬぅぅぅぅぅ!」
「うらあああああ!」
弾けるような衝撃とともに、ジャンナとアーナンヤは一斉に後ろに飛び退(すさ)った。
ホランは生唾を飲み込みながら見守っている。
「アーナンヤ……あいつの剣を」
ジャンナは不敵に笑った。
「やはり……貴様は無意識にその殴打に膜のようなものを纏わせているようだな」
アーナンヤは不思議そうな顔をした。
「はぁ? 何言ってんだ。アタシは普通に殴ってるだけだ」
「ふん……まあ良い……が、私の剣先は吸収状態になっているのに貴様に影響がない。貴様は無意識のうちに防御している……ということだろう」
ホランは驚いた顔をした。
「そうだったのかよ……どうりであたしが防御しても体力を奪われていったわけだ」
ジャンナは悪魔のような笑みを浮かべた。
「しかし……前回のようにはいかんぞ? 私は前回のように真正面から貴様と戦うつもりはない」
アーナンヤはイラついた顔をした。
「あん? 卑怯者じゃねーか! 正々堂々とまっすぐ来いよ!」
ジャンナは二本の刀を両手に持ち、ゆっくりと振り始めた。
「来るぞ……気を付けろよ……アーナンヤ」
ホランは厳しい眼でアーナンヤを見つめた。
ジャンナの持っている剣はどんどんと長さを増していった。
「なんだよ……曲芸かよ」
アーナンヤは頭を片手で押さえながらつぶやいた。
ジャンナは自分の身長の何倍もの剣をアーナンヤ目掛けて振り抜いた。
「! おわっ」
アーナンヤは慌ててその場でジャンプした。
アーナンヤの足元をジャンナの剣が素早く通過した。
通過した剣はそのまま岩山を切り裂いた。
「やべぇ……」
とアーナンヤが油断したその時、もう一本の剣がアーナンヤの脇腹を切りつけた。
「がぁっ……しまったぁ!」
勢いよくアーナンヤは岩山に叩きつけられた。
……
……
「ふふふ……どうだ私の剣は」
ガラガラガラガラ、と音を立ててアーナンヤは脇を押さえて立ち上がった。
「くそ……痛ぇな……」
ホランは叫んだ。
「アーナンヤ! 気を付けな! あいつは剣の長さを自由に変えてきやがる!」
「うるせぇ! 早く言え! ホラン吹き!」
ホランはブチ切れた。
「んああ? 誰がホラ吹きだってぇ? やられちまえ!」
ジャンナは呆れた顔でアーナンヤとホランを見ている。

「くそぉ……まともに入っちまった」
「どうした? 降参でもするか? まあ許さんがな」
アーナンヤはニヤリと笑った。
「自由自在に剣を伸ばせるんなら……一つしか手はねぇ!」
「?」
「こっちから行く!」
アーナンヤは全力でジャンナ目掛けて突進した。
「馬鹿が!」
ジャンナは剣を瞬時に短くし、アーナンヤに振り抜いた。
しかしアーナンヤは寝込むように体勢を低くし、地面を蹴り上げて起き上がると同時に、ジャンナのお腹に真下からパンチした。
ズムッ
「がはぁ……が……」
ジャンナはその場に膝をついた。と同時に、剣を振り上げた。
「舐めるなぁ!」
ジャンナは剣を振り抜いたが、アーナンヤは後ろに飛び退って着地した。
「へへへっ……どうだい、あたしのパンチは。病みつきになるだろ?」
「舐めるなよ貴様ぁ……」
「お前、なんだかんだホランとのダメージがあるんじゃないのか? アイツもあたしより弱いが雑魚じゃないからな!」
「アーナンヤ……あたしはここにいるんだぞ。言い方」

ジャンナとアーナンヤの激しい攻防は続いた。
ホラン、アーナンヤ、ジャンナの部下たちは全員手を出すことも出来ず、見ていることしかできなかった。
「うらうらうらうらうらうらぁ!」
「はっ! はっ! ぬぅ! つぁっ!」
ジャンナは一本の剣を長く、もう一本を短くし、遠近両用の戦闘スタイルを維持しながらアーナンヤの肉弾戦に対応した。
ジャンナが距離を取ろうとすると、アーナンヤが捨て身で猪突猛進してくるため、ジャンナはなかなか思うように戦うことが出来なくなった。
「はぁ……はぁ……やるな」
「へっ……へへへ……だいぶ疲れてきた」
ジャンナは二つの剣を一つに合わせた。
剣の柄は二つだが、剣先が一つに合体し、巨大な大剣となった。
アーナンヤは大きく股を開き、今まで以上に力を込めた。
「その剣……これからが本気ってわけか?」
「ふふふ……そうだ。貴様も本気で来い。終わらせてやる」
「へへ。じゃあお望み通り本気で行くぜ!」
アーナンヤは全身全霊を拳に込めてジャンナに突進した。
それを目掛けてジャンナは巨大な剣を振り下ろした。
ズドンンン……という鈍い音と衝撃音が同時に起き、あたり一面に衝撃波と砂埃が巻き起こった。
「はああああああああああああああああああああああああ!」
「ウラああああああああああああああああああああああ!」
カッ!
暫く膠着していたが、二人のエネルギーが暴走し、大きな爆発のような衝撃とともに、ジャンナもアーナンヤも吹き飛ばされた。
「アーナンヤ!」
「姉御!」
「ジャンナ様!」
暫くの静寂があたりを包んだ。

しばらくするとふらふらとアーナンヤが立ち上がった。
「はぁ……はぁ……」
ジャンナも起き上がろうとしている。
「この私に・・・二度の敗北があってはならん・・・。
クソ・・・足が・・・」
ジャンナは剣に寄りかかりながら立ち上がった。
アーナンヤが疲れ果てた表情でニヤリと笑った。
「へへ・・・あんたやっぱり強いな・・・。
また回復したら喧嘩したいな・・・」
その言葉にジャンナは一瞬イラついた表情を見せたが
すぐに笑みを浮かべた。
「その言葉・・・後悔するぞ・・・
今ならお前たち全員でかかってくれば私に勝てるぞ」
「ばーか。そんなことしない。
・・・喧嘩はタイマンで勝ってこそだろ・・・」
遠くで見ていたホランの部下がホランに声をかけた。
「姉御、今ならあいつを全員で倒せるんじゃないですかい?」
その言葉を聞いてホランは部下の喉仏に爪を突き立てた。
「・・・二度とそんなくだらないこと言うんじゃないよ?
アイツらの戦いを邪魔するならあたしが相手するよ」
震えながら部下は首を横に振った。
「す、すみません姉御・・・」
ジャンナの部下がジャンナの周りに近づいて来た。
「じゃ・・・ジャンナ様・・・どうしますか・・・?」
ジャンナは大きな叫び声を上げた。
「引き上げるぞ!」
「は?はいっ!」
アーナンヤはその様子を微笑みながら見ていた。
「また来いよジャンナ!」
ジャンナは無表情のままアーナンヤを見据えた。
「変わった奴だ」
ジャンナはそれだけ言って部下とともにその場を後にした。
アーナンヤはその場に仰向けで大の字になって倒れこんだ。
「あー疲れたー!」