導入
オリハルト国のレーナ・サクラーティは
エルドリア王国に入り、山岳地帯を当てもなく放浪していた。
「不思議な遺跡・・・一部はまだ人の気配があるのに誰もいない。
かと思いきや廃墟が沢山ある石造りの街」
レーナは廃墟の石の壁の間を歩き続けた。
レーナが大きな石造りの古城に差し掛かった時、
何かを落とす音が聞こえた。
レーナが音のほうを振り返ると
レーナと同じようなピンクの少女が剣を落としワナワナと震えていた。
「あ・・・あ・・・あんた・・・レーナ・サクラーティ!」
ピンクの少女は指をさして叫んだ。
「え・・・あなたは・・・確か・・・」
レイナは腕を組みしばらく考えた後、思いついた。
「確か・・・マゾリーヌちゃん!」
「ロズリーヌよ!ロズリーヌ・ニコル!誰がマゾよ!」
「ご、ごめんなさい・・・。」
「あ、あんた・・・なんでこんな場所にいるのよ!
オリハルトの将軍なんでしょ!」
「ちょ、ちょっとね・・・。ロズリーヌちゃんこそ何してるの?」
「私はこのエリアの古代遺跡の探索をしてるのよ。
所属しているギルドに来たクエスト。」
「ギルド?クエスト?かっこいい」
「あんた将軍なのにギルドも知らないの?王国に所属しない団体。
かっこいいも何も兵隊以外の強い剣士はギルド所属よ。一匹オオカミもいるけど。
全員が全員、国に所属するわけないでしょ」
「そうなんだ」
「あんた将軍のくせになんで一人でこんなとこいるのよ。仕事しなさいよ。クビになったの?」
「いや、クビにはなってないけど・・・そ、それより懐かしいね。
昔はよく一緒に孤児院で剣の練習したよね」
「私、あんたに一度も勝ったことないんだけど・・・」
「え?そうだっけ?ロズリーヌちゃんものすごい強かったから覚えてない」
「・・・興味ないの・・・?」
「え?」
「あたし・・・アンタに負けた日々のこと忘れたことないわよ」
「あ・・・ごめん、ロズリーヌちゃん。」
「あたし・・・アンタに勝つために努力してきたんだから」
ロズリーヌはレーナを睨んだ。
その視線から顔をそらしレーナは下を向いた。
「私は・・・ロズリーヌちゃんに言われるほど・・・そんなに強くないし」
レーナは弱音を吐いた。
ロズリーヌはレーナの様子を訝し気に窺っている。
「あんた・・・なんかあってこんなところにいるんでしょうけど・・・
今から私と戦いなさい」
「え?」
「あんたが今後も私が意識するべき存在かどうか試すわ。拒否は許さない」
「ロズリーヌちゃん・・・」
「剣を抜いて本気で来なさいよ。」
ロズリーヌは刀を抜いてレーナを見据えた。
レーナは刀を構えた。
「思い出すね・・・何もかも真っ暗だったあの孤児院を」
決着
ロズリーヌとレーナの
お互いに目にも止まらないほどの
スピードによる交戦が始まった。
「ふん。衰えては無いようねレーナ」
「ロズリーヌちゃんも強くなったね!」
「上から言うな!」
ロズリーヌが勢いよく突きを繰り出すと
間一髪レーナの衣服を掠めた。
「おっと」
レーナは大きくジャンプすると同時に
回転をしながらロズリーヌの後ろに
着地すると同時に斬撃を繰り出した。
「くっ!」
ロズリーヌはレーナの一撃を防ぐと
距離を取った。
「相変わらず素早いわね」
レーナはロズリーヌを見据えて構えた。
「懐かしいねロズリーヌちゃん」
ロズリーヌは頭を押さえた。
「あんたね。懐かしい懐かしいって
年寄りじゃないんだから・・・」
レーナは少し恥ずかしそうにした。
「そ、そうだね」
「なんか調子狂うわね・・・」
◆ ◆ ◆
しばらく互角の攻防が続いていたが
ロズリーヌは少しずつ息が切れて来た。
ロズリーヌの格好はボロボロだ。
「はぁ・・・はぁ・・・
くそっ・・・アンタ昔から全然スタミナ切れないわね・・・」
レーナも同じようにボロボロになりながらも
ぴょんぴょん飛びあがるように軽快な動きをしている。
「久しぶりにロズリーヌちゃんと戦えて嬉しい。
城では知らない人が増えたからね・・・」
「城?・・・」
「よし。もうそろそろ決着をつけようよ!
行くよロズリーヌちゃん!」
「ふん!上から言うなって!」
レーナは軽快な動きから360度の方向から攻める様に
ロズリーヌに接近した。
「行くよ!」
「!早い・・・どこからでも来なさい!」
ロズリーヌはレーナを引き付けるとともに
体を大きく回転させ周囲に攻撃範囲を広げた。
「はああああああ!」
ロズリーヌの回転攻撃はレーナの体を切り裂いた!
「きゃあああああ!っつ!」
レーナはダメージを受けたが踏みとどまり、
ロズリーヌの斬撃の下を潜り抜け、
間合いを一気に詰めるとともに
ロズリーヌに反撃を繰り出した。
「レーナ!しまっ・・・ああああああっ!」
レーナの斬撃がヒットしロズリーヌは膝をついた。
ロズリーヌはレーナを睨みわなわなと震えた。
◆ ◆ ◆
ロズリーヌはしばらくレーナを睨んだ後、
少し泣きそうな顔をした。
「・・・また・・・勝てなかった・・・」
ロズリーヌは下を向いて膝の上に置いた拳を握りしめた。
「・・・なんでかな・・・こんなに頭痛いほど・・・
悔しくて・・・修行もしてるのに・・・」
レーナはロズリーヌを心配そうに見つめた。
「ロズリーヌちゃん・・・」
「レーナ・・・私ってダメ?・・・」
レーナはその問いに焦りながら答えた。
「だ、ダメじゃないよ。ロズリーヌちゃん強いよ!」
「そう?この状況・・・あんた説得力無いんだけど・・・」
「いやいや、私のこの格好見てよ・・・
互角に戦えないとこんな風にはならないよ」
「見た目はね」
「どっちかというとロズリーヌちゃんが手加減してくれたと思ってた」
ロズリーヌはピクっと反応した。
「はぁ?私が手加減したぁ?どういう意味よ!」
「いや昔からなんとなくそういうところあったから・・・
孤児院のときから、私のお姉さん、というかなんというか」
「・・・お姉さん?・・・そんなつもりなかったけど」
「・・・久しぶりにロズリーヌちゃんに出会えて
・・・戦えて良かった。私・・・自信がついたよ。
今のお城での環境が変わってから・・・少し自信がなかったんだ」
「なによそれ・・・」
ロズリーヌはしばらく考えた後、立ち上がった。
「あんた・・・オリハルトだっけ?」
「そうだよ」
「将軍だっけ?」
「そう。去年からね。」
「ふ~ん」
ロズリーヌは腕組みしながらしばらく考えていたが
何かを決めたように空を見上げた。
「よし。私・・・あんたについていくわ。いいでしょ。」
「へ?」
「オリハルト行ってみたいし。ただ行くよりも
将軍様の推薦だと入りやすいでしょ。
それにお姉さんなら妹を見守るのは当然でしょ」
「えええええええ?」