World Chronicle / Battle Record 028

クレオvsラシード姉妹

クレオクレオ・パトリツィア
VS
ラシード姉妹アナスタシーヤ・ラシード / ザキーヤ・ラシード

村の少女ネラは病気の母親を 自分の豪から連れ出し近くの集落の知り合いに預けた。 クレオにはお前も一緒に行けと言われたが ネラはクレオが心配、そして一緒に居たいと思い行動を共にしていた。 ネラは自分の豪に水が無くなったので 近くの川に水を汲みに来ていた。 「ふぅ・・・母ちゃん…

Compiled Battle Record

導入と決着

戦闘記録 028

導入

村の少女ネラは病気の母親を
自分の豪から連れ出し近くの集落の知り合いに預けた。
クレオにはお前も一緒に行けと言われたが
ネラはクレオが心配、そして一緒に居たいと思い行動を共にしていた。

ネラは自分の豪に水が無くなったので
近くの川に水を汲みに来ていた。
「ふぅ・・・母ちゃん大丈夫かな・・・」
ネラは知り合いに預けた母親を案じていた。
それと同時に今の自分の置かれている立場を振り返った。
「クレオさんってこの国でトップクラスに強い人なんだよな。
そんな人と同じ場所に寝泊まりしているなんて・・・信じられないや」
ネラは少しだけクスと笑いながら水の入った桶を持ち上げ
自分の豪へと歩みを進めた。
しばらく歩いているとネラは妙な違和感を感じた。
ネラは急に後ろを振り向いた。が誰もいなかった。
しばらくまた歩みを進めるとまた違和感を感じた。
ネラは後ろを振り向いた。が誰もいなかった。
バケツから少し水がこぼれた。
また再び歩こうとしたその時、耳元で声がした。
「ダメじゃない。水をこぼしたらぁ」
今度は気のせいではなかった。
振り返った先にはネラと同じぐらいの背丈の黒髪の少女が立っていた。
「ふーん。目立つ黄色い髪の毛・・・。集落の少女。
サフィ姉が言ってたクレオの止めを邪魔したクソガキってのはあなた?」
ネラの背筋が凍った。
クレオの言っていた姉妹の追手だ、と瞬時に理解した。
ネラの心臓が強く鼓動し始めた。
「顔色悪いわよぉ~。熱もありそうね」
気が付いたら黒髪の少女はネラのすぐ隣にいた。
「えっ・・・いたっ・・・」
黒髪の少女はネラの腕をつかんだ。
ものすごい力でネラは手を動かせない。
「お水・・・重い?お家まで持つの手伝ってあげようか?」
黒髪の少女の赤い目が一層強く輝き始めた。
「・・・お家に・・・いるよねぇ?・・・クレオ・・・」
ネラは汗が止まらない。
「・・・なんのことか・・・いっ・・・あっ・・・」
黒髪の少女がネラの腕を力を入れてひねった。
「嘘は・・・良くないよぉ?」
ネラは怖くなって思いきり腕を振り上げた。
「わあああああっ!」
ネラは振り切ると豪に向けて全力で走った。
途中で振り返ると黒髪の少女はニコニコこちらを見ていて動かない。
ネラはさらに前を向いて一心不乱に走った。
ドンッ。何かに大きくぶつかった。
ネラの前に巨大な壁があった。
ネラは見上げるとそれは大きな赤髪の女性だった。
「え・・・」
赤髪の女性はネラを見つめ
微笑みながらゆっくりとネラの首元に手を添えた。
ネラの首根っこをつかむとそのまま持ちあげた。
「ひぃっ!うあああああああ!」
ネラは全身をばたつかせて抵抗した。しかしビクともしない。
「ザキ姉・・・どうすのるぉ?」
必死に抗うネラの真後ろから黒髪の少女の声が聞こえる。
いつの間にか背後にいる。
「アナ。姉さまの目的はクレオだけよ。ほかは必要ないの・・・」
赤髪の女性はネラの首に手を回しゆっくりと力を入れた。
「あ・・・あ・・・クレオさん・・・」
ネラが怖さのあまり目を閉じ覚悟を決めたその時、

「むっ」「えっ」
一瞬にして何かがザキーヤとアナスタシーヤの間に潜り込んだ。
「くっ」「ザキ姉!」
「がっ!」
腕を切られ脇腹を蹴られたザキーヤは数歩後ずさり
アナスタシーヤは警戒で後方に大きくジャンプした。
「・・・」「来たわね・・・」
ザキーヤとアナスタシーヤとの間にネラを抱えたクレオが立っていた。
「ごほっ・・・ごほっ・・・ク、クレオさん・・・」
「大丈夫か?ネラ・・・」
クレオはネラを地面に下すと同時に背中を2,3回軽くたたいた。

アナスタシーヤはその様子を見ながら叫んだ。
「アハハハハ!クレオ!サフィ姉に敗れた負け犬!
何しに現れたのかしら!
まさか私たちと戦おうなんてわけじゃないよねぇ!?」
ザキーヤは無言でクレオをじっと鋭く見据えている。
クレオはアナスタシーヤを見ながらバカにしたように笑った。
「サフィーヤの悪いところだ。詰めが甘い。
弱った私を狙うなら自分で来るべきなのに
・・・使えない三下を送り込むとは」
その言葉を聞いてアナスタシーヤは憤怒の表情を浮かべた。
「ああ?クレオ・・・調子にのるなよ?
今のお前なんて私一人で十分よ。今すぐ終わらせるからかかってこい」
アナスタシーヤは槍を構えた。
クレオは目を閉じて笑った。
「お前が?面白い冗談だ・・・くふふ」
アナスタシーヤは目を充血させて怒った。
「クレオぉ・・・てめぇ・・・」
「アナ!落ち着きなさい!」
ザキーヤが声をあげた。
クレオは冷静な表情でザキーヤを睨んだ。
「アナ。言わせておけばいいわ。結果が全て。
私たちがどれだけ恐ろしいか見せつけてあげましょう」
その言葉を聞いたアナスタシーヤは少しだけ冷静になった。
「ふん。そうねザキ姉!
クレオ、お前が最強とも言われた時代はもう終わり。
これからは我々ラシード姉妹がこの国を支配するのよ」
クレオはアナスタシーヤを睨んだ。
「支配?お前たち姉妹がか?王に対する謀反か?」
ザキーヤはアナスタシーヤを制止した。
「アナ。やめなさい」
クレオは怪訝な表情でザキーヤを睨んだ。
「お前たちは何を考えている?」
「ふん。お前が知る必要はないわクレオ。
砂漠に還るお前にはね!」
ザキーヤとアナスタシーヤはクレオめがけて武器を構えた。
「行くわよクレオ。一瞬で終わらせてあげる」
「クレオ・・・」
クレオも武器を構えた。
「やれやれ・・・」

少し離れた岩場からネラが顔を出して様子を見ている。
「あわわわわ・・・」

決着

「ほらほらどうしたのクレオ!避けてるだけじゃ勝てないわよ!あははは!」
「・・・」
クレオはアナスタシーヤの槍撃から大きく距離を取り、
待ち構えていたザキーヤの強力な斬撃を全身で受け止める、その繰り返しだった。
アナスタシーヤは悪意たっぷりの皮肉な表情を浮かべ吐き捨てた。
「ふん・・・つまらない奴ね。さっきの威勢はどうしたの?
ドラノマド最強と言われた騎士も落ちぶれたものね。
ザキ姉!こんな奴さっさと半殺しにして連れていきましょう」
クレオは鋭くアナスタシーヤを睨むと言い放った。
「ならばさっさと私を倒してみたらどうだ?決定打にかけているのはお前たちだろう」
その言葉を聞いたアナスタシーヤは激高しクレオに飛び掛かった。
「クレオォ!調子に乗るなよ!はああああっ!」
「アナ!」
ザキーヤが制止を叫んだが遅かった。
クレオはアナスタシーヤを見据え、大きく後ろに飛びずさった。
「クレオ!逃がさないわよ!」
クレオはザキーヤの方向に大きく旋回しアナスタシーヤを引き付けたまま、
ザキーヤに急接近した。
「クレオ!」
ザキーヤは目前に迫るクレオ目掛けて大剣を振り下ろした。
クレオはザキーヤの大剣を右手の剣で受け止めたまま
アナスタシーヤが迫ると同時に目にもとまらぬ動きで屈んだ。
「えっ?」
「アナ!」
ザキーヤの斬撃が間一髪アナスタシーヤの衣装を切り裂き
アナスタシーヤは動揺した。
「ザキ姉!危ない」
「アナ!あなたが・・・」
クレオはザキーヤとクレオを目掛け二刀流からの斬撃派を繰り出した。
「きゃあああああ!」
「ぐあっ!」
ザキーヤとアナスタシーヤは大きく吹き飛ばされ、二人して倒れた。
「す・・・すごい」
遠くの岩場から見ていたネラは思わず言葉をこぼした。
ザキーヤはゆっくりと起き上がりクレオを睨んだ。
アナスタシーヤは立膝をついたまま叫び声をあげた。
「くそくそくそぉ!クレオぉ!ぶっ〇す!」
「アナ!」
ザキーヤはアナスタシーヤの頬を平手打ちした。
「ざ、ザキ姉・・・。」
「アナ。先ほどのあなたの行動、それがこの有様です。
相手は格上と思いなさい。全力で叩き潰すのですよ」
「ザキ姉・・・わかったわ・・・」
アナスタシーヤは冷静さを取り戻した。
「クレオ・・・舐めないで貰いたい。
私たちもまだ全然本気なんて出していない・・・」
「そうよ!ラシード姉妹はこれからよ。」
「アナ・・・本気で行くわよ。足止めをお願い」
「任せて。・・・はあああああっ」
アナスタシーヤは全身を震わせて力を込めた。
「・・・?なんだ?」
「はあああっ・・・ふふふ・・・見せてあげるわ!」
ぽん
ぽん
ぽん
アナスタシーヤの周りに大きな泡が次々と浮かび始めた。
「なんだこれは?」
クレオが不思議に思う間もなく、離れた場所の異変に気が付いた。
ザキーヤが台風を巻き起こさんばかりに大きな槍を振り回し、
キーヤの周辺に炎が出現した。
「クレオ・・・ここからが本番だ」
ザキーヤの体中と武器を大火が取り囲んだ。
ぴしゃ
「!・・・足が。」
いつの間にかクレオの足元は水に漬かっていた。
目の前のアナスタシーヤからは次々と泡が出現し、
泡が地面に落ちると同時に巨大な水量となり
あたり一面湖のようになっていった。
「行くわよ!クレオ!」
アナスタシーヤは水面の上を走りながらクレオに迫った。
「くっ!」
クレオは飛び上がったが水に漬かっていた足元が重い。
「水面では私のほうが動きが上のようね!」
アナスタシーヤの攻撃を正面で受け止めたクレオは吹き飛ばされ、
勢いよく水面に突っ込んだ。
クレオが立ち上がると膝上まで浸水している。
背後に炎を纏ったザキーヤが襲い掛かった。
「終わりです・・・クレオ」
ザキーヤの斬撃をクレオは受け止めたが、ザキーヤの周りの炎がクレオを焦がす。
「ぐ・・・あっ・・・」
ザキーヤはクレオの力が弱まったところをさらに追撃した。
「ぐあああああっ」
クレオは大きく吹き飛ばされ水の中に突っ込んだ。
「あははは!いい気味ね!クレオ!」
しばらくすると水の中からクレオが立ち上がりアナスタシーヤとザキーヤを睨んだ。
クレオはしばらく睨んでいたが少し優しい表情を見せると同時に小さく呟いた。
「お前たちは本当に・・・相性が悪い姉妹だな・・・」
◆ ◆ ◆
アナスタシーヤの水場攻撃と上空からのザキーヤの火炎攻撃。
クレオはダメージを受けながらも反撃を繰り出していた。
「はぁ・・・クレオォ・・・」
「ふぅ・・・思い通りに行きませんね」
アナスタシーヤは叫んだ。
「埒が明かないわ!サフィ姉に合わす顔がない。ザキ姉!次で仕留めるわよ。」
「そうね。全力で行くわよ」
クレオは目を閉じてため息をついた。
「クレオォ!行くわよ!!!」
アナスタシーヤは水面を走りながらクレオに迫った。
炎を纏ったザキーヤが大きくジャンプした。
ザキーヤは上空からクレオの動きを伺った。
クレオは目を開き、近づいてくるアナスタシーヤから視線をそらした。
「あきらめたか!〇ねぇクレオ!」
クレオはその場で目にもとまらぬ高速回転をした。
「え?」
クレオの二刀流から繰り出された回転力はあたりの水分を巻き込み竜巻となった。
クレオはそのまま後方のザキーヤめがけて投げつけた。
「な、なに・・・!?」
水の竜巻に迫られたザキーヤは防御を試みたが取り囲む火炎はすべて消えてしまった。
「ザキ姉!」
クレオはアナスタシーヤに対して無数の斬撃を繰り広げた。
「いやあああああああっっ!」
アナスタシーヤはクレオの斬撃を受け、吹き飛ばされた。
「わっ」
遠くの岩場で戦いを見ていたネラの近くまでアナスタシーヤが飛ばされてきた。
気絶している。
「アナ!」
空中でアナスタシーヤの様子をうかがっていたザキーヤに
クレオが迫り、斬撃をこれでもかと繰り出した。
「ぐっ・・・か・・・ああああああああああっ!」
ザキーヤは空中から落下し地面に叩きつけられた。
アナスタシーヤが気を失ったせいか水は消えていた。
「はあ・・・はあ・・・」
「クレオさん!」
ネラが岩場から顔を出しクレオに声をかけた。
「ネラ・・・はっ・・・ネラッ!」
アナスタシーヤが立ち上がりネラに槍を向けた。
「お前だけでも仕留めてやる!」
アナスタシーヤはネラに襲い掛かったが
ネラは素早い逃げ足で距離を取った。
「な、なんて逃げ足。このガキ!」
アナスタシーヤはネラを目掛けて走った。
「ひぃっ!」
「待て!このガキ!・・・・・っ、がっ・・・ざ、ザキね・・・」
どさっ。
ザキーヤはアナスタシーヤの首に手刀を浴びせアナスタシーヤは倒れた。
ザキーヤはアナスタシーヤを抱え、クレオを睨んだ。
「クレオ・・・必ずあなたをラシード姉妹の手で葬ります。
私たちには目指すべき野望があるのだから・・・」
ザキーヤは後ろ姿を見せると同時にものすごい勢いで消えていった。
「クレオさん・・・」
「ネラ・・・ひとまず村に戻ろう。」