導入
軍国アストマ サリス城
(サリス様!不審者がこの城に侵入した模様です!)
「なんだと?何者だ?」
(わかりません!門兵が全員倒れているとのこと!
現在、侵入者は入場し、2Fのロビーまで来ているとのこと)
「幹部どもは今、出兵中か?」
(はっ。全員このサリス城にはいません。)
「ふん・・・悪いタイミングだな。
しかし誰かわからなければ対策のしようもない。
よかろう、サリス様が自ら出迎えてやろう」
◆ ◆ ◆
「・・・どこに誰がいるかわからない」
ぶつぶつとアルマ・ヘルムートはサリス城を徘徊している。
(動くな!不審者は排除する)
「不審者じゃないよ・・・人を探しているだけ・・・」
(黙れ不審者!全員かかれ!)
サリス城の帯刀した衛兵が数人でアルマに飛び掛かった。
「危ない・・・」
アルマは衛兵の刀を人差し指と親指でつまんで軽々と止めると
そのまま衛兵を持ち上げた。
(え?ええ?・・・うああああ!)
アルマはそのまま衛兵をほかの衛兵に向けて投げつけた。
ぶつかりあった衛兵は全員気絶してしまった。
「刀は人に向けると危ないよ」
アルマはきょろきょろと周りを見渡して3階へ向かう階段を見つけた。
「上に誰か居るかな・・・」
アルマが階段に向かおうとしたとき、女が降りてきた。
「何か用かな?・・・このサリス城に・・・」
全身紫づくめの女がアルマの目の前に現れた。
「・・・人を探しているの・・・アリス・・・」
「アリス・・・?」
「知らない・・・ですか?ガルガンティスのアリス。一応・・・皇女・・・」
「一応・・・?・・・知らんな。ここには来ていない」
「そうですか・・・私、ガルガンティスの将軍です。
嫌いだけどアリスを探せと言われてる・・・国境沿いで居なくなった」
「国境沿い・・・?ああ。国境沿いでガルガンティスに
ちょこちょこ攻撃を仕掛けているのはだいたいが暗殺隊のジェマという女だぞ」
「・・・ジェマ・・・そうですか。ありがとう。・・・じゃあ・・・帰ります」
背中を向けたアルマにサリスは声をかけた。
「まて。このまま帰る気か?」
「え・・・」
「お前はこの城の衛兵を6人も気絶させてしまったんだぞ。
我が城にとっては大損害だ」
「ごめんなさい、話を聞いてもらえなかったので・・・」
サリスはニヤリと笑いながら自分の二の腕をさすった。
「部下をやられた手前、お前をこのまま帰すわけにはいかないな。
私はお前に興味がある。これから私はお前を全力で攻撃する。嫌なら抵抗してみろ」
サリスの肉体が膨れ上がり邪悪なオーラを放った。
オーラに呼応するようにアルマの目つきが鋭くなり、
アルマは腰を深く落とし戦闘態勢に入った。
「私は・・・こんなところで・・・のんびりしてられない。
アリスを連れて帰らないと・・・天帝様に嫌われちゃう・・・」
「はははっ。いいぞ。もし私に勝てたなら
暗殺隊のジェマのところまでエスコートしてやってもいい。
さあ、かかってこい」
決着
サリスは大剣を振りまわりアルマに襲い掛かった。
「行くぞ!ガルガンティス将軍の実力を見せてもらおうか!」
アルマも戦斧で応酬した。
「・・・私はこんなことしたくもないし戦いたくもない。
だから・・・さっさと終わらす」
アルマは大きく飛び上がるとサリスめがけて急降下した。
サリスは咄嗟に後ろに飛びずさり回避した。
アルマは大きくめり込むほどの衝撃波を地面に突き立てた。
サリスはひゅう、と口笛を吹いた。
「凄い攻撃力だな・・・。ふふ。部下に欲しいぐらいだ。
どうだ?・・・私の部下にならないか?」
アルマは衝撃波により散らばった瓦礫を足蹴にしながら言った。
「嫌。天帝様がいるから・・・」
「そうか・・・。残念だ・・・。ならばここで死んでもらおう。
スピードを上げていくぞ」
サリスはその場でトントンとタップを踏み始めた。
サリスは先ほどよりも一段階軽やかなステップを踏みながら
アルマ目掛けて走り込んだ。
その動きは途中から目にもとまらぬほどの速さへと変化した。
「!・・・早い」
アルマは服一枚ギリギリで躱した。
「あぶない・・・」
「ふふふ・・・まだまだ上げていくぞ」
サリスの動きがますます早くなった。
アルマは周囲から来るサリスの猛攻を防ぎながら
衝撃波を巻き込んだ斬撃で反撃した。
「凄い攻撃だな・・・当たるとマズそうだ」
「早い攻撃・・・嫌だな・・・」
サリスとアルマはほぼ互角の攻防を繰り広げた。
お互いにスタミナが切れ始めたころ
アルマは意を決したようにサリスを見据えた。
「はぁ・・・はぁ・・・次で決めるよ。」
「はぁ・・・はぁ・・・そうだな。
このまま体力の削り合いは性に合わない」
アルマ&サリス「はぁああああああ!!!」
二人は至近距離ですさまじい手数で斬撃・打撃を繰り広げた。
数分間その攻防が続いたとき、均衡が解かれた。
「くっ!」
アルマの一撃がサリスの大剣を弾いた。
「しまっ・・・」
アルマは残っている力を振り絞るかのようにサリスに追撃を加えた。
「やあああああああ!!!!」
「がっ!はああああああああっ!!!」
アルマの多数の攻撃がサリスの体をとらえた。
「・・・ぐっ・・・ふっ・・・」
サリスはその場で直立不動の状態からゆっくりと立て膝をついた。
「はあ・・・はあ・・・」
その様子をアルマは静かに見つめながら言った。
「もういくよ・・・」
アルマはゆっくりと背を向けてその場を離れようとした。
「ガルガンティス寄り、ワシロナ湖近くのサーゲイトという町・・・
ジェマはそこを支配して自らの拠点を構えている・・・
お前の探している皇女はそこに監禁されているかもしれない・・・」
アルマは振り返りサリスを見た。
「どうして教えてくれるの・・・?」
疲労困憊状態のサリスはアルマのほうを向き小気味よく笑った。
「約束だ・・・。この状態では案内は出来ないがな。」
アルマはサリスのほうに近づこうとした。
「構うな・・・。」
サリスは小刻みに震えながらも立ち上がり腕を組んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・私はいずれこの国を支配する・・・。
その時はお前をスカウトしに行くぞ・・・」
サリスはニヤリと笑いながらゆっくりと振り返り、上階に向けて歩き始めた。
アルマはサリスの後ろ姿を見ながら呟いた。
「ありがとう」
アルマはサリス城を後にした。