導入
軍国アストマ ジャンナ領
ジャンナ「ん?なんだあの影は?」
ジャンナは宮殿の二階の回廊から遠くに見える影をじっと見据えた。
するとその影は軍団であることがわかった。
部下がジャンナのもとに駆け寄ってきた。
(ジャンナ様!おそらくガルガンティスと思われる部隊が我が宮殿向けて
進撃してきております)
ジャンナ「・・・どういうことだ・・・ガルガンティスが自ら攻撃を仕掛けてくることなど今までなかった・・・」
(いかがいたしましょうか?)
ジャンナ「とりあえず・・・派兵しろ。そして理由と要件を聞け。内政が忙しい時にガルガンティスなど相手にできん」
と、その時だった。
黄金に光る何かが物凄い勢いで荒野を抜けてこちらに近づいてきた。
近づくにつれ、それが人間だとわかった。
ジャンナ「なんだ・・・?あいつは?」
その女は地面を高く蹴り上げ、宮殿の塀、塔の傘、そしてジャンナがいる
二階の回廊までと飛び移ってきた。
ジャンナ「・・・何者だ」
その女は着地をした後、少し見回したあとジャンナに声をかけた。
(初めまして・・・私、ガルガンティス天位十将軍のラーラ・ガルドゥーンと申します。お見知りおきを・・・)
ジャンナ「・・・天位十将軍だと・・・?なぜここに」
ラーラ「あら嫌だ。私ったら・・・。不躾に・・・申し訳ありません。
実は・・・人を探しておりまして・・・
我が国の仮にも皇女のアリス・ガルガンティスというものですが・・・」
ジャンナ「(仮・・・?)アリス・・・?誰だそれは」
ラーラは覗き込むようにジャンナを見据えた。
ラーラ「あら・・・本当にご存じないのですね・・・それでは、何か心当たりはありませんでしょうか?我が国との国境付近で行方不明になっておりまして・・・」
ジャンナ「(国境付近・・・?マクナイトかサリスか?)・・・さあな・・・
ここは国境から離れている・・・」
ラーラはジャンナの顔を下目遣いでじーっと見ている。
ラーラ「・・・そうでしたか。本当に知らないようですね・・・」
ラーラはもう一度宮殿を見回した後、ジャンナに問いかけた。
ラーラ「国境付近にお知り合いなどはいらっしゃいますか?
出来れば探し人をお探しいただければありがたいのですか・・・」
ジャンナ「ふざけるな。私は忙しいのだ。それにこの国は内乱状態だ。
たくさんの部隊が乱立している・・・
失踪、死亡などそんな話は日常茶飯事だ」
ラーラ「そうですか・・・わかりました・・・すみませんでした・・・失礼します」
ラーラがお辞儀をした後、背中を向けて回廊から飛び出そうとした。
ジャンナ「待て」
ラーラ「は?」
ラーラはもう一度ジャンナのほうを振り向いた。
ジャンナ「目の前にガルガンティスの最高幹部がいるんだ・・・見過ごす手はない」
その言葉を聞きラーラの表情が強張った。
ラーラ「・・・どう意味で?」
ジャンナ「その首を置いて行けと言っている」
ジャンナの目が怪しく光り始めた。
剣を引き抜き不敵にわらった。
ラーラはゆっくりと体をジャンヌのほうに向け刺すような視線を向けた。
ラーラ「・・・身の程知らずが・・・この私は崇高なる天帝様の代理人。
・・・貴様ごときが刃を向けて良い存在ではない・・・」
ジャンナは大きく声を上げて笑った。
ジャンナ「ははは!それならば!その崇高な存在を刈り取って見せるとしようか!」
決着
ジャンナ怪しく目を光らせながらラーラに鋭く切りかかった。
ラーラは一瞬戸惑いながらジャンナの攻撃を間一髪で躱した。
ラーラは違和感を感じた。
「今のは・・・まさか」
「ははは!よく避けたな!もっと早く行くぞ!」
再びジャンナの目が怪しく光りながらラーラに切りかかった。
ラーラは余裕をもってよけようとしたが
ジャンナの斬撃が腕を掠めた。
「やはり・・・そうなのですね」
「ん?」
「あなたのその目の光・・・相手の自由を奪う力が働いていますね」
ジャンナは意外そうな顔をしたがすぐに押し殺したように笑った。
「ふん。さすがガルガンティスの将軍だな。しかし、だからどうした。
まだまだ私の能力を強くかけていくぞ!恐怖しろ!」
ラーラは真剣な目つきでジャンナを睨みつけながら構えた。
◆ ◆ ◆
戦いが始まり数十分が経ったころ、
明らかに形勢が表れ始めた。
ジャンナが果敢に攻撃を仕掛けるがラーラがその攻撃を可憐によける。
ジャンナは少し取り乱したように声を荒げた。
「はぁ・・・はぁ・・・なぜだ!なぜ斬撃が掠るばかりで当たらんのだ!
それよりなぜ貴様は私の魔気の前で動けるのだ!」
ラーラは疲労を感じながらもジャンナに挑発的な笑みを見せた。
「はぁはぁ・・・ふふふ。あなたの気は感じていますわよ。
普段より体が重い・・・嫌な気分です・・・しかし・・・」
ラーラは両手を大きく空に掲げて響き渡るような大声で叫び始めた。
「あの人が!私を!必要としてくれているから!!!
私の体は!愛に!天に!大きく包まれているのです!!!!!!!」
ジャンナはこの世の終わりの光景を見るかのような表情でラーラを見ている。
「あなたの魔気は!確かに強い!しかし強い信念と愛と婚姻の儀と宿命と運命を
抱えるものにとってはただの飾りでしかないのです!」
「な・・・何を言っているのだ・・・」
ジャンナはラーラの話している言葉の意味が分からない。
ラーラは大きく天を見上げたまま両手を広げ、力を込めた。
「な・・・なんだ。奴の周りに光と光の輪が・・・」
ラーラはジャンナのほうを向き睨みを聞かせたまま大きく股を開き攻撃の体制を構えた。
「行きますよ!受け取りなさい!これが私のあなたに対する愛です!!!」
ジャンナは困惑のまま防御の型を取った。
「はあああああ!ラストアタックforヘブンエンペラー!」
「な、なんだこれは・・・ぐあああああっ!」
ジャンナは大きく吹き飛ばされた。
「くっ・・・この私が」
膝をついたままジャンナはラーラを睨んでいる。
ラーラはそのまま背を向けて飛び出そうとした。
「ま、待て・・・このまま行く気か」
ラーラは後ろ向きのまま横顔を見せた。
「私の愛の力をお見せしました・・・あの娘もここにいない。
もうこれ以上は必要ないでしょう。
そうだ・・・貴方も恋をしなさい・・・そうすればもっと強くなれます・・・」
ジャンナはこの世の終わりの光景を見るかのような表情でラーラを見ている。
「こ、恋・・・?なんだそれは・・・」
ラーラはふっ、っと笑ってジャンナ城から飛び出していった。
ところ変わって天帝城
(な・・・なんだ?この長々と続く寒気は・・・)