導入
片膝をついたクレオの目の前には同じ四聖統闘士のサフィーヤ・ラシードが立っていた。
クレオ「サ、サフィーヤ・・・貴様・・・」
サフィーヤ「あらあら・・・四聖統闘士のクレオ様ともあろうものが・・・
そんなガキにボロボロにされて・・・私の急襲にも気づかず・・・
あははは・・・無様ですわね・・・」
クレオ「な・・・何の用だ・・・」
サフィーヤ「用?・・・あらぁ?おかしいわね。この国で闘士どうしが出会う理由は一つでしょう。
ふふふ・・・序列8位の私の部下を・・・四聖統闘士の座に就かせたいのですよ・・・
四聖統闘士の椅子・・・一つ空けてもらいますわよ・・・」
クレオ「き・・・貴様ぁ・・・」
クレオは気力を振り絞って立ち上がった。背中からはサフィーヤの斬撃痕から血が滴っている。
サフィーヤ「ふふふ・・・私が・・・あのクレオ・パトリツィアを仕留める・・・
こんなうれしいことはありませんわぁ・・・」
クレオは目をつぶって静かに笑った。
クレオ「ふふふ・・・」
サフィーヤ「ん?」
クレオ「いや・・・可笑しくてな・・・こんな姑息な手段を使わないとまともに勝負もできないお前がな・・・」
サフィーヤ「あぁ?・・・なんですって?」
クレオ「いいぞ・・・やってやる・・・貴様にはこのぐらいのハンデが必要だろう・・・」
クレオはサフィーヤをあざ笑った。額には汗が滴っている。
サフィーヤはその顔を見て、歯軋りを鳴らしながら苛ついた。
サフィーヤ「相変わらずムカつく奴ですわ。その言葉を後悔するぐらい惨たらしく切り刻んであげますわ!」
サフィーヤは鬼のような形相を浮かべながら槍を構えた。
クレオ「ふん・・・今までもこんなことは何回もあった・・・私は負けない・・・」
岩陰の後ろからネラがあわあわした表情で覗いている。
決着
「あははは!その程度ですか?クレオォ?」
サフィーヤの大振りな斬撃がクレオを襲った。
クレオはサフィーヤの槍撃を弾くたびに背中に衝撃が響いた。
「くっ・・・」
サフィーヤの一撃一撃でクレオの表情が歪む。
「ふふふ・・・苦しそうねクレオ・・・楽にしてあげますわ!
あはははは!」
サフィーヤが大きく槍を振り上げた瞬間に
今までの疲労が嘘かのようにクレオは目にもとまらぬ速さで
サフィーヤの懐に飛び込みサフィーヤの胴に強力な一撃を打ち込んだ。
「なっ!?・・・が、がはぁっ・・・」
サフィーヤは吹き飛ばされ岩山に突っ込んだ。
クレオは深呼吸した後にゆっくりと言葉を吐き出した。
「はぁ・・・はぁ・・・貴様の悪い癖だ・・・自分が有利だと実感するとスキが出る・・・相手が格下だと思うと有頂天になる・・・わかりやすい下種・・・私はそんなに簡単な相手ではない・・・はぁ・・・はぁ・・・」
クレオの強気な言葉とは裏腹にその表情には苦痛が浮かんでいる。
サフィーヤは被さる瓦礫を払いのけ立ち上がった。
「おのれ・・・おのれおのれおのれぇ!
私の体に傷を!土を!許せない!絶対にお前を砂漠の土に還す!」
サフィーヤの体をオーラが纏った。
その様子をクレオは苦しそうに睨んでいる。
「もう私は油断しない・・・覚悟しなさい。クレオ。私からは逃げられない・・・」
クレオはニヤリと笑って構えた。
◆ ◆ ◆
クレオとサフィーヤの攻防は1時間以上も続いた。
クレオもサフィーヤも大きく体力を消耗し、
お互いがお互いが倒れるのを見計らっている。
「なんて憎たらしい・・・はぁ・・・はぁ・・・
その深手で・・・いい加減倒れなさい・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
クレオの背中から滴り流れる血が止まらない。
サフィーヤがオーラを放ち大きく股を開き構えた。
「ふふふ・・・お前には私の最高の奥義で止めを刺してあげます・・・」
サフィーヤが横に大きく跳ねるとともにクレオに急接近した。
クレオは体の向きを変えて防御に構えた。
サフィーヤの下からの突き上げる渾身の一撃でクレオの体が宙に浮きあがった。
「し、しまった・・・まずい・・・」
クレオが気づいたときにはもう遅かった。
サフィーヤの一撃目はクレオの体を宙に打ち上げるものだった。
「砕けなさい!クレオ!!!」
宙に浮いた無防備なクレオの体を目掛けて
サフィーヤの目にも止まらぬ槍の斬撃がクレオを襲った。
「がああああああああああああ!あっ!あっ!やっ!ぐあああああああ!」
疲労したサフィーヤはすべての力を放出するかの如くクレオに斬撃を注ぎ込んだ。
「はあああ!逝け!逝きなさい!クレオオオオオ!」
「はああああああっ!うあああああああああ!あああああっ!・・・っ」
永遠に続くかのような攻撃をうけクレオはその場に倒れた。
◆ ◆ ◆
「はぁ・・・はぁ・・・クレオ・・・これで終わりです・・・
その首をクロスブレイドの運営に引き渡すとしましょう・・・」
サフィーヤが槍を構えようとしたその時、
「やめろぉ卑怯者!」
「ん?」
岩陰で隠れていた少女ネラがクレオの前にでてサフィーヤを睨んでいる。
「なんの用ですか小娘?」
「こ、こんなのおかしい!お前は卑怯だ!クレオさんはお前より強い!」
「だからなんなのですか?・・・死にたいのですか?」
「ひっ・・・う、うるさいうるさいうるさい!」
ネラはクレオを抱きかかえ一目散に走り始めた。
「貴様!クレオを!」
サフィーヤはネラを追いかえけようとしたが足が思うように動かない。
「く・・・クレオとの戦いで体力が・・・ガキがぁ!」
サフィーヤは槍をネラめがけて投げるがネラは飛び上がり避けた。
「クレオさん、無事でいて・・・」
ネラは岩山の陰に隠れた。
「はぁ・・・はぁ・・・クソガキがぁ!」
サフィーヤが岩山の裏を見るとその先は急な傾斜地になっており
ネラとクレオの姿はその場所にはなかった。
ネラはクレオを抱えたまま下に落ちていったようだ。
サフィーヤは鬼のような形相でその場で叫んだ。
「おのれええぇ!ク、クソガキめぇ!
はぁ・・・はぁ・・・ふ、ふふふ・・・
クレオ…逃がしはしないわ・・・
ザキーヤ、アナスタシーヤ、
私の可愛い姉妹達でお前を地獄の果てまで追いかけるわ・・・
ふふふ・・・」