導入
グレゴリス帝国帝下最高士官"聖傑"ホリー・ルシエンテスと
エバロン王国上位将官ステファリア・サリーニの部隊は
個々人の剣技を争うように訓練をしていた。
ホリーとステファリアはともに"聖剣"を自負する共通点があり、
過去に何度も決闘を行っている。
部隊員たちもその過去を知っているため、
自分たちの訓練とは別に離れたところで
ホリーとステファリアによる一対一の決闘が行われていることを知っていた。
部隊の訓練から遠く離れた砂漠でホリーとステファリアは向かい合っていた。
お互いに対峙してから数十分は微動だにせず、ただお互いを見つめ合っていた。
ホリーがゆっくりと口を開いた。
ホリー「久しぶりですね・・・」
ステファリアはホリーの言葉に呼応するように目を閉じながら言った。
ステファリア「君とは前回、決着をつけることができなかった」
ホリー「ふふふ・・・あなたとは何度戦っても・・・納得いく結果にはなりませんね。
お互い聖剣を名乗るどうしの宿命なのかもしれません」
しばらくの沈黙が続いた後、ホリーは言葉をつなげた。
ホリー「何やら・・・訓練本部のほうが騒がしいようですが・・・」
ステファリア「いいさ・・・私たちには関係ない・・・」
ホリー「ふふふ・・・そうですね・・・」
ステファリアは息を大きく吸い込み
目にもとまらぬ速さで剣を振って見せた。
ホリーの場所まで風がつわたっていく。
ホリー「以前よりキレが増しているのがわかります。
でも、私も以前と同じではありませんよ」
ホリーの目つきが変わり、あたりに砂埃が巻き上がる。
ステファリア「わかるよ。聖気が以前にもまして洗練されている・・・」
ステファリアとホリーは二本の刀を鞘から抜き対称に構えた。
ホリー「本当は部下たちの活躍を見てあげなければいけないのですが・・・
ふふふ・・・あなたと闘り合えるとなると
私事に囚われてしまいますね・・・」
ステファリア「部下たちは勝手に行動するさ・・・
それより・・・私たちの雌雄を決することのほうが大事さ・・・」
ホリー「さて、話が長くなってしまいましたね・・・
それでは・・・行きますよ」
ステファリア「どうぞ・・・」
ホリーが目にもとまらぬ速さでステファリアとの間合いを詰めた。
ステファリアはその攻撃を正面から受け止めた。
衝突の衝撃は両者の足を地面の砂にめり込ませた。
衝撃で大きく砂が巻き上がり、開戦の狼煙となった。
決着
ホリーとステファリアの戦いは
当初はお互いに様子身をしながら競っていたが
次第にみるみる差が開いていくのがわかった。
最初からホリーの動きがおかしいことにステファリアは気づいていた。
しかしステファリアは相手への詮索や情けをかけることなく
ホリーに挑発の言葉をかけた。
ステファリア「どうした・・・?以前までのお前はそんなものではなかったはずだ。
前回に戦った時は全くの互角だったはず・・・。
そんな体たらくでは私を倒せない。そんなお前と決着をつけてもな・・・」
ホリー「くっ・・・黙りなさいっ・・・」
ホリーは上着を脱ぎ戦闘状態に入った。
ホリーの肉体はオーラを纏い素早い剣撃を繰り広げたが
ステファリアは難なく捌いていく。
ステファリア「なんだその太刀筋は・・・。そんなものか?」
ステファリアはホリーの不甲斐なさに苛立ちを隠せなかった。
ステファリア「舐めているのかあぁっ!!!」
ステファリアは一気に聖気を放出した。
その強大な力にホリーは驚いた。
ステファリアはゆっくりとホリーへと歩みを進めた。
ステファリア「悲しいな・・・こんなに差がついてしまったのか・・・」
ホリー「くっ・・・何を言う!まだよ・・・」
ステファリア「良いだろう・・・かかってこい・・・お前の聖剣を全力で否定してやろう」
ホリーはステファリアへ一直線に向かい連撃を繰り出した。
しかしホリーは何もなかったかのように攻撃を躱し、ホリーの腹部に剣の柄を突き立てた。
ホリー「がはあぁっ・・・」
ホリーは腹を押さえその場にしゃがみこんだ。
ホリー「あっ・・・がっ・・・」
ステファリアはホリーの髪の毛を掴み上げた。
ステファリア「どうした・・・今のが剣を突き立てていたら勝負は決まっていたぞ」
ステファリア「私は・・・お前と戦うことを楽しみにしていた・・・
こんな戦いを望んでいたわけではない・・・」
ホリー「はぁっ・・・まだまだあっ」
ステファリア「私たちは同盟を組んでいる。そのため命の取り合いは出来ない。
しかしそれでもお前と剣を交えているときは剣術の高みを目指す戦いが楽しめた・・・
残念だ・・・何がお前を弱くした・・・」
ホリー「黙れぇっ!!!」
ホリーは今までで一番大きな聖気を放ちステファリアに向かっていった。
ステファリアの目つきが変わった。
ステファリアは腰を深く落としホリーの突進に備えた。
ホリーの渾身の斬撃は天使の翼のように広がりステファリアを捉えた。
ステファリア「があああっ!!!」
ステファリアは攻撃の範囲を見誤り全身にダメージを受けた。
しかし倒れかけたステファリアは踏みとどまりホリー目掛けて、
二本の聖剣から強力な衝撃波を繰り出した。
ホリー「あっ・・・がっ・・・・」
ホリーは全身に攻撃を受けその場に倒れた。
ステファリア「はぁ、はぁ・・・最後の一撃は見事だった。
しかし・・・こんな程度の戦いを望んでいたわけではない・・・。
次に戦う時はもっと強くなってこい。・・・勝負は預けた」
ステファリアは仰向けに倒れているホリーに向けて語りかけた。