導入
続き
ベタニア「エステラ・・・お前ともあろうものが」
ベタニアの隣には肩を落としたスージーが立っている。
スージー「私、何と言っていいのか・・・ごめんさない」
ベタニア「謝る必要はない。正々堂々と戦っていたと部下から報告を受けている。
その上で決着がついた。エステラは負けたことを愚痴るような人間じゃない。
しかし、間違いなく疲れ切っていたエステラの背後から狂剣を振るった誰かがいる」
ベタニアの全身の筋肉が硬直している。目に見えて怒気が溢れている。
スージー「"エバロンの聖なる審判"・・・そんなことって・・・」
ベタニア「この訓練に参加している誰かなのは間違いない」
そこにエバロン王国上位将官のエスペランサが近づいてきた。
エスペランサ「ベタニア殿。この度はとんでもないことになったな」
ついさっきまでエスペランサとベタニアの部隊は合同訓練を行っていた。
エスペランサは軽くベタニアにお辞儀をした後、現場を見渡して状況を確認した。
ベタニア「エスペランサ殿・・・ついてはお願いがあるのだが」
エスペランサ「何かな?」
ベタニア「エステラはスージー殿との訓練の後、一人で兵舎に戻った。
そのあと部下や御軍との接触は行っていない」
エスペランサはなんとなく何を言われるのか察したような表情を見せた。
ベタニア「エステラが兵舎に戻った前後の御国の上位将官全員の足跡を
調べていただきたい・・・」
エスペランサはやっぱりか、と眉毛を動かした。
エスペランサ「まるでエバロンの将官がエステラ殿に危害を加えたと断言しているように聞こえるが?
あの書き文字だけでエバロンの仕業とは断定できませんぞ」
ベタニアは荒い息を抑えられなくなっている。
ベタニア「エステラは!私が認めた数少ない騎士だ!その辺の雑兵に負ける女ではない!
近い実力のものでないとこんな芸当をすることは不可能だっ!」
エスペランサはベタニアの大声に呼応するように声を荒げた。
エスペランサ「ならば!貴軍の士官がエステラ殿に危害を加えた可能性もあろう!
何故!エバロンだけが犯人扱いされねばならぬのだ!」
ベタニア「我がグレゴリスの同胞が仲間を手にかけるとでもいうのか!!!」
エスペランサ「その可能性がある!と言っているだけだろう!」
スージー「ちょ、ちょっと・・・エスペランサ・・・」
エスペランサ「はぁ、はぁ・・・」
ベタニア「貴殿が調査をしないというならば!私が力づくでエバロン幹部に詰問して回る!」
エスペランサ「バカな・・・そんなことが許されるわけないだろ!」
ベタニア「エステラの無念を晴らさないとこの気持ちは収まらん。止めようというのならば相手になろう!」
エスペランサ「くっ・・・この単細胞がっ」
スージー「ちょ、ちょっと・・・」
ベタニアとエスペランサはお互いに武器を構えた。
◆ ◆ ◆
決着
エスペランサ「こっ、このバカ力!ゴリラ!筋肉バカ!マッスル外道!露出狂!・・・」
いつも冷静なエスペランサから止まらないほど悪口が溢れ出てくる。焦っている。
スージー「(汗)・・・エスペランサっ・・・私も」
エスペランサ「黙ってろスージー!・・・おいベタニア!落ち着け!」
ベタニア「黙れ!エステラの仇は私が取る!」
ベタニアの次々に繰り出される拳の風圧だけでエスペランサの服が脱げる。
エスペランサ「な、なんて凶暴な・・・まともに受ければひとたまりもない・・・しからば」
エスペランサはベタニアから大きく距離を取りエスペランサを睨んだ。
距離を取られたベタニアは再度エスペランサ目掛けてどすどすと向かっていく。
エスペランサは向かってくるベタニアに対し手をかざして叫んだ。
「エクス!」
ベタニアは目の前に突然現れた火の玉に突っ込んだ。
ベタニア「ぐあっ!こ、これは・・・」
一瞬火の玉のようなものが浮かんでは消えた。まるで爆発のようだ。
エスペランサはさらに手をかざして力を込めた。
ベタニアは異変を察知し左右へとジャンプし急に出現する爆発を躱した。
ベタニアはエスペランサを睨んで口を開いた。
ベタニア「・・・それがお前の技か・・・」
ベタニアは少し冷静さを取り戻した。
エスペランサ「そうだ。申し訳ないが・・・ベタニア殿。肉弾戦では勝てる気がしない。
距離を取りながら狙い撃ちにさせてもらうぞ!」
エスペランサが手をかざすと次々と火の玉が飛び出しベタニアに直撃した。
ベタニア「くおおおおっ!」
しかし爆発に突っ込むようにベタニアはエスペランサを目掛けて突進した。
ベタニアは距離を一定に保つようにしながら何度も何度も爆発をぶつけた。
・・・・・・・・・・・・・・
エスペランサに明らかに疲れが見え始めた。
ベタニアは肉体がボロボロになりながらも目の鋭さは変わらない。
エスペランサは火の玉を繰り出すたびに辛そうな表情を浮かべている。
ベタニアは機械のようにエスペランサに突進するスタイルに再び構えた。
スージー「もうやめてください!・・・私が調査します・・・エバロン内部を・・・」
エスペランサ「スージー・・・」
ベタニア「・・・」
エスペランサ「・・・ベタニア殿・・・私は独自に今回の件を調査することを約束しよう・・・
今回は剣を収めてくれないか・・・」
ベタニア「・・・」
ベタニア「スージー殿・・・感謝する・・・私も頭に血が上っていたようだ・・・
少し・・・事の成り行きを見守るとしよう・・・」
ベタニアはエスペランサのほうにのっしのっしと歩いて行った。
エスペランサは少し警戒していたがベタニアから殺気は消えていた。
ベタニアはその隆々とした肉体でエスペランサを抱きしめた。
エスペランサは内心「ふぁっ?」と思った。
ベタニア「お主との戦い・・・非常に痺れた・・・その肉体に感謝する」
エスペランサは不思議な感覚に陥った。