
聖騎士ザイラ
セントロマノ教皇国は教皇を中心とした封建制度を採用している。実力のある騎士や聖職者がその統治を許された領土を与えられ、その代わりに教皇や枢機卿・大司教などの命に応じる。セントロマノ教皇国ザイラ領はセントロマノ聖騎士団幹部のザイラが統治する小さな領である。ザイラは統治や支配に全く興味がない。ただ修行場と衣食住があればそれでいい。ただ己の実力を試すために強い騎士や戦士と戦いたい、その一心で騎士団の任務を遂行してきた。ザイラ領は名ばかりであり実際は修道院の司教が領政を取り仕切っている。
そんなザイラに騎士団長オフェリアから伝文が届いた。相変わらず慣れ慣れしく気持ち悪い奴だ。
<ザイラちゃん元気~?腕鈍ってるんじゃないの?腕鈍ってるなら切り落として私に頂戴!なんちゃって!そんなザイラちゃんに朗報ですぅ。なんと教皇様・枢機卿様が領土拡大計画の命を下されましたぁ。つ・ま・り、ザイラちゃんが気のゆくまで強い騎士や戦士と戦えるってことなのです!そして、あの、第三極の色輪騎士団がうちの国の情勢を聞きつけたらしくうちの領土の周辺を厳重に警備しているらしいわぁ。と、いうわけで追って連絡をしますのでザイラちゃんは修行を始めてくださいぃ。業務連絡でしたぁ。>
なんだこの伝文は。奴は頭がおかしいのか?しかし・・・心の中が少し沸き立つのを感じた。色輪騎士団は統制のとれた騎士団ではないが個々の実力は相当なものと聞く。面白い・・・私が本気で戦える相手に会えるかもしれない・・・。

聖騎士リリアーナ
セントロマノ教皇国 リリアーナ領
セントロマノ教皇国リリアーナ領はセントロマノ屈指の悪政エリアと言われている。領土に興味のないザイラやイデアから分けてもらい範囲拡大化を図っている。今では教皇領、枢機卿領に次いで大きくなった。リリアーナは他人との格差で優位を感じることに快感を得る悪癖があるため、領主である自分と領民との生活環境格差にとにかくこだわるのだ。また不幸にも剣技に長けた騎士でもあるため武力による統制も悪政に拍車をかけている。エリアに強権的な刑吏を多数配置している。
騎士団長オフェリアから電報が届いていた。
<リリアーナちゃん久しぶり。相変わらずひどい政治をしてるみたいね?教皇庁に無許可で勝手に人頭税とか取ってるらしいじゃない?リリアーナちゃんの領土である前に教皇領なんだからね?さて、それはそうと・・・教皇様・枢機卿様が領土拡大計画の命を下されました。そして、第三極の色輪騎士団も動きます。うちの国境は奴らに取り囲まれます。リリアーナ領は西のアイアンクラッドに接してるからそこから領土拡大してください。得意よね。支配。でも色輪の騎士も動くから注意してね。そういうことで。業務連絡でしたぁ。>
私はオフェリアが嫌いだ。奴は聖騎士団長であり私よりも剣技に秀でている。だが個人技で勝てなくてもいくらでも支配する方法はある。オフェリア・・・いつか必ず私に跪かせてやる。四つん這いにさせて私の椅子にしてやる・・・。まあいい・・・とりあえず私の野望を果たすためアイアンクラッドの住民を支配するか。

聖騎士セレナ
セントロマノ教皇国セレナ領
セントロマノ教皇国セレナ領はセントロマノの中で1,2を争う繁華街である。セレナは信教徒に対しては何処までも神の同胞として手厚くもてなす。セレナは大きな教会や聖堂、修道院の儀式には必ず参加をし、自ら警備を買って出る。そのため修道女やシスターから絶大な支持を得ている。また領政にも熱心に取り組み、信徒がいかに安寧を手に入れた生活ができるかを常に考えている。しかし異教徒や紛れ込んだ賊などに対しては鬼神と化し、神の裁きと称して罰を与える。
騎士団長オフェリアから電報が届いていた。聖騎士団長のくせに、神への信心に欠ける・・・私は彼女を評価していない。
<セレナちゃん。貴方が命よりも大事にしている”神のお達し”が出たよ。私が呼ばれて命を受けちゃった。私があなたたち幹部を仕切って良いって。>
腸が煮えくりかえる思いだ。ああ教皇様・・・なぜ私に声をかけてくださらないのかしら。
<内容はね・・・セレナちゃんの好きな異教徒狩り!じゃなくて領土拡大して信教徒を救いなさい、だって。そして、あの、第三極の色輪騎士団も動きます。うちの国境は奴らに取り囲まれてます。私たちは任務を遂行するために奴らカラー騎士たちを倒す必要があります。セレナちゃんは異教徒以外にはやさしいから心配なんだけど。セレナちゃん、相手は異教徒ですので徹底的に破砕・・・お願いします。また連絡します。オフェリアでしたっ。>
・・・オフェリア経由で神の命を聞くのが一番私は嫌いなんだ・・・。しかし嘘はついていないだろう・・・。色輪騎士団・・・。なぜ私たちの邪魔をするのでしょう・・・。その間違った思い上がり・・・。この私が粛正して見せましょう・・・。異教徒には私の神の太刀を見破ることなど決してできない・・・。

聖騎士イデア
セントロマノ教皇国 イデア領
セントロマノ教皇国イデア領はセントロマノ聖騎士団幹部のイデアが統治する領域である。彼女はザイラと同じく全く統治や支配に興味がない。ただザイラと違って強さを求める、とかそのようなつもりはなく生きる喜びと死に場所を求めて彷徨う世迷い人のようだ。幼いころの記憶がほとんどないが、いつも人前で踊っていたことは覚えている。いや、曲芸で踊らされていたのだろう。しかし生きるため、いつの間にか剣を手に取っていた。片目はどこかで失った。髪を切り性別を失い・・・そして死の舞を踊っていた・・・。
イデアにも騎士団長オフェリアから伝文が届いた。あいつの顔は見たくないし、むしろ切り刻みたい。
<無口なイデアちゃん踊ってるかい?いくら無口でも文字は読めると思うのでお手紙出しました!おおっと。読む前に切り刻むのはやめたまえよ。お姉さんにはお見通しだよ。さて、イデアちゃんにダンスパーティのお誘いですぅ。なんと教皇様・枢機卿様が領土拡大計画の命を下されましたぁ。つ・ま・り、無口なイデアちゃんが主役になれる大舞踏会が開催されるってこと!二刀流でぶしゅぶしゅダンス楽しそう・・・。そして、あの、第三極の色輪騎士団がうちの国の情勢を聞きつけたらしくうちの領土の周辺を厳重に警備しているらしいよ。イデアちゃんのダンスパートナーとしては十分じゃないかなぁ?それじゃ、また連絡しますので腕磨いておいてください。業務連絡でしたっ。>
なんだこの伝文は・・・。しかし色輪の騎士団の噂はよく聞く。戦争を止めただとか、和平に持ち込んだとか。正義のための集団か知らないが虫唾が走る・・・。人のため?世のため?私には関係がなかった・・・。偽善だ・・・。もし戦うことになったらそれを教えてやる。
