World Chronicle / Battle Record 033

ジモーネVSマオ

ジモーネジモーネ・クライン
VS
マオマオ・アナンディーン

ノシアス共和国民事院会館にて (マーラ総書記。アームストン王国大公マオ・アナンディーン様が 我が国に入国されたそうです。) (そうかい。アレクサンドラから手を回してもらったのさ。 使いを出して中央庁までエスコートしな。 アームストンとの軍事同盟を強化するための話し合いさ。)…

Compiled Battle Record

導入と決着

戦闘記録 033

導入

ノシアス共和国民事院会館にて

(マーラ総書記。アームストン王国大公マオ・アナンディーン様が
我が国に入国されたそうです。)
(そうかい。アレクサンドラから手を回してもらったのさ。
使いを出して中央庁までエスコートしな。
アームストンとの軍事同盟を強化するための話し合いさ。)
(軍事院への報告は・・・?)
(えぇ?・・・ふふ・・・隠密は政治の華だろう・・・?)
◆ ◆ ◆
国境周辺に位置する民事院施設にて

(マオ様。しばらくするとマーラ様からの使いがこちらに到着するとのこと。
それまでしばし待機しておいてくれ、とのこと)
「ふん。アレクサンドラめ。私をこんなところに派遣するとは。
私は難しいことは良くわからん。修行をしたいのに時間の無駄だな。」
(今回の目的はアームストンとノシアスの同盟強化の確認と、
ノシアス民事院の自営部隊の戦力を見てやってほしい、とのこと。)
「なんで軍事院じゃないんだ?軍事は軍事院だろ。」
(はい。そこがノシアスの政情が不安定になっているところでして。
民事院と軍事院で権力闘争のようなことになっており、
民事院は独自で軍事院に匹敵する戦力を持ちたい、と。
そのためノシアスの民事院は独自にアームストンと武力同盟を結んでいます)
「ややこしいな。同じ国なのだから仲良くやれば良いのにな。
まあ私は強いものが好きだから軍事院に興味があるけどな。
素人集団のケンカの監督か・・・。やれやれ」

しばらくすると小さな小部隊が近づいてきた。

◆ ◆ ◆
「ん?早いな。ノシアスの使いか?」
マオの問いかけに促されるようにマオの部下は小部隊に声をかけた。
(おーい!その方はノシアス民事院の使いか?)
するとその小部隊の後ろから
緑装束のガタイの良い眼鏡の女性が近づいてきた。
マオの目つきが鋭くなった。
「おい。民事院ってのは庶民の集まりだよな・・・」
マオは部下に問いかけた。
(は・・・)
「明らかに武人の女が近づいてくるぞ」
眼鏡の女性は鋭く睨みつけながら近づいてくる。
「なんだお前は」
マオは女に声をかけた。
「私はノシアス軍事院のジモーネ・クラインと申します。」
一瞬その場に静寂が流れた。
「・・・確か軍事院には話が言っていないはずだが」
マオは訝しげにジモーネをみた。
「ある情報筋からアームストンの大公殿が入国されると聞きました」
「・・・それで?何か用か」
ジモーネはしばらく沈黙していた。
「・・・お引き取りを願いたい。」
マオは少し驚いた顔をした。
「何故?」
「民事院が勝手に行う軍事同盟は軍事院はおろか民意すら得ていません。
総書記マーラが秘密裏に行っている独裁判断だと考えます。」
「そうか・・・私は呼ばれただけなんでね」
「それはわかっています。ただ、今までアームストンから送り込まれたのは
小部隊と、部隊長クラスまで。大公が入ってくるとなると話は変わります。
ノシアスの国防を従来より担っていた軍事院としては
見過ごすわけにはいかないのです。」
「ここまで歓迎されていないとは・・・ではどうする?」
「お引き取りを」
「嫌だと言ったら?」
マオは挑発的な笑みを浮かべた。
ジモーネは唇を噛みしめて黙っている。
マオはしばらくすると口を開いた。
「・・・私は強い奴が好きでな。難しい話は聞きたくない。
お前は強そうだ・・・」
ジモーネの表情がさらに険しくなった。
「力で試してみるか?私は構わん。どういう結果になろうと全く遺恨はのこさん。」
ジモーネは悩んだような表情を浮かべて問うた。
「大公殿・・・話し合いの余地はないか・・・?」
国の軍事の一端を担うものとしての葛藤があるのだろう。
しかし突然イライラしたマオが、
大きな口を開けて叫んだ。納筋爆発!
「うぉお前も武人なのだろう!ならば力でこじ開けてみろ!
私がお前の実力を認めるならば、引き下がってもよい!かかってこいジモーネ!」
マオは刀を構えて戦闘スタイルに入った。
ジモーネはあまりにも進展が早いことに驚いた。
しかしすぐに冷静さを取り戻し、応手の構えをとった。
「今日はお引き取り願います・・・」
「こいジモーネ!」

決着

ジモーネとマオの攻防は想像を絶するものだった。
ジモーネが衝撃波を巻き込むほどの斬撃を繰り出すと、
マオはそれを片手で受け止め、
もう片方の剣を振りぬくとジモーネは腕の甲で止める。
ジモーネの強力な足蹴りをマオは飛びあがり避けると
落下と同時にジモーネ目掛けて瞬足の突きを繰り出す、
がジモーネは間一髪で避ける。
その一撃一撃の衝突音があたりに響き渡り
生唾を飲んで見守っている部下たちの聴覚を奪う。

(すごい・・・。)
(なんて戦いだ・・・。)
マオは大きく叫び声をあげた。
「ジモーネ!お前のような騎士がノシアスのような国にいたとはな。
ノシアスの軍事院が大陸で全く名前を聞かないが不思議に思えるぐらいだ!」
ジモーネは無表情のまま答える。
「それはどうも。・・・私たちは別に名を売りたいわけじゃない。
ノシアスの安定のため。そして国民のため・・・。」
マオは真剣な表情を浮かべた。
「その言葉に嘘がないことはお前と剣を交えた私だからわかる・・・
私にもアームストンの無双大公としての意地がある。
だからこそ決着はつけさせてもらうぞ・・・」
マオの筋肉が膨れ上がり一回り大きくなった。
ジモーネは先ほどとは違う空気を感じ取り構えた。
「私も・・・生半可な気持ちで民事院とアームストンの関係を
止めようとしているわけではない・・・。
今ここでマーラの野望を止めないとノシアスは
共和国としての体裁を失ってしまう・・・」
ジモーネから放たれる気配が変わった。
「嬉しいぞジモーネ。私をはじめ、アームストンの騎士たちは
各自が自己研鑽に励みその力を高めてきたが、
その力の受け皿となる存在はいなかった・・・
こんなにワクワクする戦いは久しくなかった。」
ジモーネは目を閉じた。
「私にとっては・・・戦いなど・・・国の安定のための
手段に過ぎない・・・。戦いなどなければ・・・。」
「ならば!私を抑えて戦いを止めてみろ!
はああああ!」
マオは先ほどの数倍のスピードでジモーネに迫った。
ジモーネもそれに応戦した。
マオとジモーネの眼にもとまらぬ攻防は
手元が見えず剣の交わる金属音だけが連続して鳴り響いた。

◆ ◆ ◆
「はあああああああああああああああ!!!」
「ぬあああああああああああああああ!!!」
マオとジモーネの一進一退の攻防が数十分経過したころ
マオは剣を持ち替え逆手持ちから下に切り上げた。
その切っ先がジモーネの体を切り裂いた。
「ぐあああっ」
ジモーネの体がバランスを崩した。
「好機!!!」
マオはジモーネの剣を弾き上げた。
「しまっ」
「受けてみろ。紫電無双閃!
はああああああああああああああっ!!!」
マオの両腕が紫の雷に見えるほど高速になった。
「あああああああああああああああああああああっ!!!
やっ、がっ・・・うわあああああああああああああああっ!」
ジモーネは耐えきれず両腕を上げて全身で
紫電無双閃の猛撃を受け続けた。

「ああああああああああっ・・・
うあっ・・・・があっ」
「これで終わりだ・・・・・・・・・逝けっ!!!!!!」

ズシュッ・・・・ドサッ

ジモーネは吹き飛ばされ仰向けで地面に落ちた。

「はあっ・・・はあっ・・・」
マオは少しバランスを崩した。

「紫電無双閃を受けて無事でいられた奴はいない・・・。
悪く思うなよ・・・。」

マオはジモーネに近づこうとした。
するとジモーネの部下数人がジモーネを取り囲んだ。

「ん?・・・お前たち・・・
騎士の戦いを邪魔するな・・・」

マオの問いかけにジモーネの部下は真剣な表情で答えた。

(我々はジモーネ様をここで死なせるわけにはいかない・・・。
ジモーネ様こそ、この国を立て直すのに必要なお方・・・。
これ以上ジモーネ様に危害を加えるならば・・・
例えば邪道と戒めを受けようとも・・・命を懸けて抵抗させてもらう。)

ジモーネの部下数人はマオを睨んでいる。
その目は死をも厭わない力強さに満ちている。

マオはしばらくずっとその表情を見ていた。
「良い部下に囲まれているな・・・。ジモーネ・・・。」

マオは剣を鞘にしまった。
そのままジモーネの部下に対して背中を向けて歩き始めた。

「大公どのっ」

ジモーネの部下が声をかけた。

「ジモーネに伝えておいてくれ。生きた心地のした素晴らしい戦いだった。
・・・しかし約束は約束だ。私は民事院に行く。
これからアームストンとノシアスはもっともっと関係が深化するだろう。
またお前と相まみえることもあるだろう。・・・立場がどうなるかはわからないがな」

マオはゆっくりと背中を向けて、
既に到着していた民事院マーラの使いの元へと歩いて行った。